今回は、店舗を新しく作る時に必要な内装工事について確認申請から、計画・工事までの流れを紹介します。
確認申請とは?
確認申請は建築物を建てたり、大きく改修する前に法律に適合しているかを審査してもらう手続きです。
確認申請が必要なケース
大規模な修繕や模様替え
建物の主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の過半を修繕や変更する場合
特殊建築物で100㎡超
特殊建築物(飲食店・物販店・展示場)で床面積が100㎡を超える場合
用途変更
事務所→飲食店など建物の用途が変わる場合
増築・改築
建物の床面積が増える場合や構造に影響する改築
防火地域内での工事
防火。準防火地域では1㎡でも増築すれば申請が必要
確認申請が不要なケース
内装のみの小規模な変更
間仕切り壁の配管や床材の張り替えなど主要構造部に影響しない工事
100㎡以下の特殊建築物
飲食店などでも床面積が100㎡以下であれば不要な場合あり
類似用途の変更
カフェ→バーなど同一区分内の変更
仮設建築物
イベント用の仮設店舗など特定行政庁の許可を得た仮設建築物
都市計画区域外の小規模建築
一部の地域では200㎡以下の平屋建てなどは申請不要なこともあり
自治体によって判断が異なるため、所轄の建築主事や確認検査機構に相談するのが確実です。
書類に不備なくスムーズに行けば確認済証が交付されるまでの期間は一週間程度です。
指摘事項があったり、特殊建築物で消防同意が必要な場合などは一か月以上かかります。
確認申請の後に必要な業種別の手続きや届出
飲食店を始める場合
・保健所に営業許可申請
店舗完成の10日前までに提出(厨房や手洗い設備の基準あり)
・消防署に防火対象物使用開始届
使用開始の7日前までに提出(火を使う設備がある場合は別途届出も)
・税務署に開業届
開業から一か月以内。青色申告を希望するなら同時に申請
・警察署に深夜酒類提供飲食店営業届出
深夜0時以降に営業する場合は開業の10日前までに提出
★テイクアウトやお菓子の販売もするなら菓子製造業許可も必要になることもあります。
美容院・理容院を始める場合
・保健所に美容院、理容室の開業届
開業の10日前までに提出(構造や衛生設備の基準あり)
・消防署に防火対象使用開始届
飲食店同様に必要
・税務署に開業届
個人事業主として開業する場合
・年金事務所、労基署、ハローワーク(スタッフを雇う場合)
社会保険・労働保険・雇用保険の手続きが必要
★スタッフが二人以上いる場合は管理美容師の設置も必要です。
雑貨・アパレルショップを始める場合
・税務署に開業届&消防署に防火対象使用開始届
他業種と同じ
・古物商許可(中古品を扱う場合)
警察署に申請。指紋登録や講習は必要なことも。
・酒類販売業免許(お酒を販売する場合)
税務署に申請。取得まで2~3ケ月かかることも。
理想お店をつくるための第一歩 内装計画
内装計画とは、ただオシャレな空間をつくるだけではありません。お客様が快適に過ごせるか?スタッフが働きやすいか?法律に適合しているか?など店舗づくりの土台となる大切なステップです。
お店の「コンセプト」を言葉にする
どんな雰囲気にしたいか?(落ち着いたカフェ・活気ある居酒屋)
誰に来てほしいか?(20代女性・ファミリー層・ビジネスマン)
どんな体験を提供したいか?(癒し・スピード)
コンセプトがブレてしまうと内装も中途半端になってしまうので言葉にすることで相手にも伝わりやすいし、デザインやレイアウトの方向性が見えてきます。
必要なスペースをリストアップする
お店に必要なスペースを洗い出します。これは業種によって大きく異なります。
飲食店→客席・厨房・レジ・待合スペース・トイレ・ストックヤード
美容室→カットスペース・シャンプー台・受付・待合・スタッフルーム
何にどれだけの広さが必要か?を考えることで無駄のないレイアウトに仕上がります。
動線を考える
動線とは、人の動きの流れのこと。お客様とスタッフ、それぞれの動線を意識することがとての重要です。
お客様が入りやすく迷わず移動できるか?
スタッフが効率よく動けるか?
お客様とスタッフの動線が交差しすぎてないか?
動線が悪いと、混雑やストレスの原因になります。
「どう動くか?」を想像しながらレイアウトを考えるのがポイントです。
法令や規定を確認する
内装工事には、守らなければいけない法律やルールがあります。
消防法(避難経路・防火設備)
建築基準法(天井高・採光・換気など)
保健所の基準(飲食店や美容院など業種ごとの規定)
これらを知らずに計画を進めてしまうと後からやり直しになることもあります。設計士や施工業者と相談しながら事前に確認しておくことが大切です。
予算スケジュールをざっくり立てる
最後に全体のスケジュールを考えます。
どこにお金をかけるか?(内装・設備・収納庫など)
どこでコストを抑えるか?(素材・既製品の活用など)
オープン日から逆算して余裕を持ったスケジュールを組む。
特に注意したいのが予備費の確保です。工事中に想定外の出費が発生することがあるため全体の10~20%は余裕を見ておくと安心です。
内装計画はただの準備ではなく、お店の未来を描く設計図です。しっかり計画しておくことで工事がスムーズにすすみます。
お店づくりの流れが見える!工事の種類
内装計画がまとまり、いよいよ工事です。
内装工事は、見た目を整えるだけでなく安全性や快適性を支える縁の下の力持ちです。
ここでは、飲食店と美容院に必要な内装工事の種類を紹介します。
飲食店は「厨房と客席をつなぐ見えない工事が鍵」飲食店の内装は見た目以上に「機能性」が重要です。お客様が快適に過ごせる空間とスタッフが働きやい厨房や動線を同時に叶えることが必要です。
美容院は「水回りとブランディングが空間の鍵」美容院は、お客様が長時間過ごす場所だからこそ居心地の良さと機能性の両方が求めまれます。特に水回りと照明は空間の印象と使いやすさに直結します。
解体工事(必要な場所)既存の内装を撤去
既存の店舗や設備が残ってる場合、それを撤去してスケルトン状態に戻す工事です。
飲食店→古い厨房や水回りの配管も一度取り外し
美容室→既存什器や洗面台の撤去、床の段差調整なども行う
造作・下地工事(空間の骨組づくり)
壁や天井、床の下地を作る段階です。レイアウトに合わせて空間を分けたり間仕切りを施工します。
店舗の間仕切りや動線を反映した造作工事です。
空間が見えない部分を形づくる工程です。
電気工事(照明やコンセントなどの設備)
照明やコンセントの位置、インターネットなどの配線を設置する工事です。
飲食店→厨房設備の電力に応じて容量や位置を調整
美容院→鏡周辺やカットスペースの光の明るさ、色味が重要
給排水・ガス工事(水回りの整備)
シンク・トイレ・シャワー・厨房機器など水道やガスの配管を設置します。
飲食店→保健所の基準に合わせて厨房の配管設計が必要
美容室→シャンプー台や洗面設備の位置と使いやすさが大切
空間・換気設備工事(快適な環境づくり)
エアコンや換気扇、ダクトを設置する工事です。快適な空間づくりには欠かせません。
飲食店→厨房の熱や油煙に対応した強力な換気設備が必要
美容院→ドライヤー熱を考慮した風の流れや静音性を意識
仕上げ工事(内装の顔づくり)
壁紙・塗装・床材・天井などを仕上げてお店の雰囲気を演出します。
コンセプトに沿った色、素材選びがポイント
耐久性や清掃のしやすさも重要
什器・サイン工事(家具や看板の設置)
棚やカウンター、受付、看板などを設置して店舗の完成に近づいていきます。
飲食店→客席テーブルやメニューサイン、レジ周りなど
美容院→鏡・収納・レジカウンターなどの設置
店舗の内装工事は確認申請などの法的な手続きから始まり、理想の空間を描く計画、そして実際の工事という流れで進みます。飲食店や美容院など業種によって必要な工事は異なりますが、順序立てて準備することでスムーズで納得のいく店舗づくりが可能です。
株式会社福冨は、滋賀県大津市を拠点に、工務店・不動産業を営んでいます。地域に根ざし、お客様の目線に立った親身な対応を大切にしながら、一つひとつのご相談に真剣に向き合っています。 問題に対する提案力には自信があり、デザイン・設計から施工まで、一貫したワンストップサービスを提供。新規出店のサポートでは、物件探しから各種申請手続きまでトータルでお手伝いします。 個人宅のリフォームも、小さな修繕からフルリノベーションまで幅広く対応可能です。住まいに関することなら、どうぞお気軽にご相談ください。 あなたの理想をかたちにするお手伝いを、株式会社福冨が心を込めていたします☺